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tOkYo rAiDeRsによる観戦試合のメモです。次節のためにウソをつくこともありますのでご了承ください。


2002年JFL 第17節 10/11/2002 13:00 K.O.
YKK FC 2-3 佐川急便東京SC ○

魚津市桃山陸上競技場
曇り

佐川東京 3-4-2-1システム
      笠木(小幡)
    山本  馬目
久保寺 熊谷  米山 井上
   川村 鈴木 伊藤
        加藤
(その他リザーブ)佐野、久保、中払、金藤

JALの羽田発富山行きの朝の便が、着陸態勢に入った。

飛行機特有の、気圧の変化による軽い刺激痛がこめかみのあたりに走る。この感覚が、ボクにある記憶を蘇らせていた。

FIFAワールドカップによる中断明けのプロフェソール宮崎戦。宮崎行きの機内でやはりボクはこの感覚に少し悩まされながらも、中断前、思わぬ不調に陥っていたチームの事を思わずにいられなかった。

結局その試合では、加藤竜二、笠木新というニューカマーの出現が期待を抱かせながら、上々の内容で大勝を得ていた。そしてそれは、その後の優勝争いに必ずや復活できると確信させるに足るものであった。

その後、間もなくしてボクらは最終戦のエアチケットを予約した。Hondaや大塚がそうそう敗れるとは思えなかったので、優勝争いは、最終節までもつれるに違いないとその時点で予想していた。

果たして、その通りとなった。降下のGが身体を圧迫する間、これまでの戦いぶりに再び思いをはせた。

8人乗りのレンタカーで、勇躍、決戦の地へ乗りこむ。いつも通りやたらと賑やかな車内の誰しもが、最後に笑っているのは佐川東京だ、俺たちなんだと 信じて疑わなかった。

首位Hondaとの勝ち点差は「2」。同日同時刻に行なわれる栃木とHondaの試合結果が、ドローもしくはHondaの負けでなければ、佐川東京の逆転優勝はない。冷静に考えるとこれはかなり厳しい条件のはずだった。

しかし、不思議と佐川東京が優勝するとしか思えなかった。特に根拠など無かったんだが。

魚津駅前の、ちょっと名の知れた食堂にて、日本海が育てた強豪、鱈汁定食(1100円也)とのスペクタクルな戦い(本当に手強かった…)を制した我々は、スタジアムに向かう。

強敵、鱈汁。メンマラーメンを食べて不戦敗のメンバーもいた。
10/11/02 @Uozu  Beautiful Tara Soup ©Copyright 2002  tOkYo rAiDeRs

揃いも揃って貧乏人のRaidersにとってはナニゲに嬉しい入場無料で迎えてくれた魚津桃山陸上競技場は、驚くべき立地にあった。メインスタンドからバックスタンドを臨むと、冷たくも荒々しい日本海の光景が視界一杯に横たわっていた。こんなロケーションのスタジアムはJではついぞお目に掛かれない。これもJFLならではと言えようか。

佐川東京は、最後の戦いにあたってメンバーを入れ替えた。前線には今年最大の化けっぷりを見せた笠木が先発。左のストッパーの位置には久保に替わって”ゴン”川村が入った。リザーブには練習試合で好調ぶりをアピールしていた2年目の金藤と、ボランチへのコンバートも板に付いて来たか、中払の名前も見える。

YKKFCのシステムは3-5-2。3バックの中央の一枚が、まさに「スイーパー」といった趣で、限りなくGKに近く位置取るクラシカルかつコンベンショナルな布陣。しかもいざ試合が始まるとダブルボランチが2枚とも最終ラインの直前を離れることがなく、実績ではJFL随一を誇る藤島監督&古前田ヘッドコーチが植え付けたディフェンス意識の高さを感じさせた。

雨か雪の中での試合を強いられる事も予想されたが、厚い雲には覆われていたものの試合までに雨は上がっていた。

582人の観衆が見守る中で始まった試合。YKKは開始早々から11人全員が自陣深く引き篭もり、中盤から特にプレッシャーをかける事もなく、ホームチームらしからぬ立ちあがりであった。前半を0点に抑え、後半勝負を仕掛けようというのか?これまでの他のチームとは明らかに違う、リアリティ溢れるゲームプランである。

対する佐川東京は、中央の米山と熊谷のコンビが機能、YKKの中盤を寸断し、攻撃の第一歩となる鋭いパスを前線に供給した。特に米山は、洒脱なドリブルとパス出しで佐川東京の攻撃に創造性を加えた。

試合が動いたのは、19分。縦1本をペナルティエリア手前で笠木がポスト、このボールを狙ってペナルティエリア右に走りこんできた馬目が相手ディフェンダーのスライディングタックルを受け転倒。微妙な判定は、佐川東京のPKに。これを熊谷がゲット。やや押しこまれ始めた時間帯にあっさりと先制。

これでペースを掴んだ佐川東京は、42分、中央で熊谷がドリブル開始、何かが起きる予感。相手DFが引いて応対しようとしたところを右足一閃! 中央やや右より20メートル付近から炸裂したミドルが見事決まって0-2。試合の趨勢は決したかに見えた。

前半はこのまま終了。こうなると、俄然、気になるのは栃木グリーンスタジアムの戦況。前半は0-2でHondaリードと聞いて、一斉に落胆&口々に文句を言いまくる我々。

「とちーぎえすしー!」(どどんどどんどん)

ノーテンキな連中のノーテンキなコールが栃木とは真逆の日本海に向かって溶けていく中。後半開始。

案の定、YKKは前半とはうってかわって攻勢に転じてきた。早いプレスから素早くサイドに展開する。個人技に長けた8番古賀と、10番星出が左右のサイドをえぐりクロスを供給する。中央は捨てたのか、律儀に実直にこれを繰り返してきた。

一方の佐川東京も、マノ(←13得点)&マサオ(←14得点)がドリブルでつっかけ、またはミドルを放つなどして追加点を狙うが、やはり、お互いにチャンスがあった得点王のタイトルに意識がいきすぎたのか?必要以上に個人での打開を狙いすぎて結局ふいにしてしまう場面を連発。ズコッ!とコケるボクら。

YKKのプレッシャーがきつくなるとともに、両チームにファウルまがいのチャージが続発する。レフェリーは試合を通じて神経質に笛を吹きつづけていたので、次第に荒れ模様となってくる。こうしたところも佐川東京の試合運びに微妙に影を落としていた。

佐川東京がもたついている間に、執拗にサイドを狙いつづけたYKKの努力が実る。後半78分。左からのクロスを昨年度JFL新人王のFW長谷川が頭で落として、FW市ノ瀬が右足でゲット。その五分後には左コーナーキックからDF濱野がジャンプ一番ヘッドで決めてあれよという間に同点。わきあがるスタンド。2点差からドローに持ちこまれた前節、佐川大阪戦の悪夢が蘇る。

ベンチが動く。久々の先発出場が仇となったか、後半スタミナ切れとともにプレーに精彩を欠いていた笠木を下げ、小幡を投入。頼む、なんとかしてくれ。

佐川東京の試合を見ていてつくづく思うのだが、途中出場した選手がかなりの確率で決定的な仕事をやってのける。これも一つの魅力だ。それぞれがベンチにあってもモチベーションを高く維持しつづけ、常に自らのすべき事をしっかりと捉えているから可能なのではないか。控え選手の高いメンタリティーとコーチ陣による意識付けを高く評価すべきであろう。

…などと、エラそうに書いたが、要するに得点王候補のマノでもなくマサオでもなく、小幡がヒーローになったのである。

テンポ良いパス交換からゴール前の馬目に、馬目がこれをペナルティエリアやや左寄りからフリーランニングを開始していた小幡にスルーパス。小幡はこれを右足で決めて、見事決勝点となる3点目をゲット。こうなると最早YKKも善戦むなしく試合終了のホイッスルを聞くほかは無かった。

試合終了。気になる、栃木の結果は1-3でHondaの優勝が決定した。流石は名門だ、おめでとう(棒読み)

「最終節、佐川東京が逆転優勝!…って方がおもしれーだろっての!空気の読めねぇ連中はこれだから困る。ッチッ!(舌打ち)」

…まあ、いい。見事2位になった選手たちが、最後の挨拶にやってくる。他会場の結果を受けてマサオが得点王になったことを知り、一頻り祝福のコールを投げかける。手を上げてそれに応えるマサオ。しかし、最後は自分で決めて飾りたかったのか、嬉しさ満面という様子では無いように見えた。

佐川東京は、ほぼ手中に収めかけていた優勝を逃してしまった。惜しい。実に惜しい。しかし、2位だ。『J2昇格(?)圏内だ!』なんて野暮は言わないが、咋シーズンよりもチームとして随所に成長の跡を見せた佐川東京の今季の戦いぶりをボクは心から誇りに思う。

しかし、最終節を終えた今、何よりも思うのは、佐川東京の試合がもう見られないのだという事実。ドキドキワクワクさせられる週末が、しばらくやってこなくなるなんてこの上なくツラい。

日本海を臨む桃山陸上競技場では、YKKのセレモニーが行なわれていた。

「天皇杯に向けて頑張ります!」

マイクパフォーマンスに沸き立つ歓声を聞くとはなしに耳にしながら、ふとバックスタンドを見やる。いつしか、厚い雲の切れ間から太陽が覗きこみ、冷たい日本海の水面を照らし始めていた。

何ともいえない秋の光景が、ボクの中で急に生まれた寂寥感を一層大きくしていった。

Stadioからの絶景。桃山陸上競技場。富山湾の向こうは朝鮮半島ではない。
10/11/02 @Uozu  Beautiful Bay and Peninsula  ©Copyright 2002  tOkYo rAiDeRs


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