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第82回天皇杯東京都予選”東京都サッカートーナメント”社会人予備戦  
23/08/2003 11:30 K.O.

エリースFC東京 0-1 佐川急便東京SC

江東区夢の島陸上競技場  晴れ

佐川急便東京SC 3−4−2−1システム
     竹谷(馬目)
   山本 山根
米山 熊谷 津村(小幡)井上(田島)
  川村 鈴木 伊藤
       加藤

エリースというチームを、その日初めて見たというわけではなかった。

奥原崇のワザ目当てに何度か見てはいたのだが、正直、奥原以外のチームとしての印象はいつも 薄かった。関東リーグクラスではごく並みのチームだと思っていた。2000年の関東リーグでは 佐川東京はエリースと2度対戦して2度とも破っていた。

ところが、ここ最近のエリースの進境ぶりたるや目覚しかった。関東リーグでも上位に付けている。(ということは、来期JFLに上がってきても不思議ではないということだ。) 今シーズンの舎人陸上競技場での群馬FCホリコシとの上位対決は、1-3で敗れたものの、中盤でプレッシャーを掛け、 岡本淳一(FC東京→大塚)を中心に切れ味鋭いハーフカウンターを何度も繰り出し、試合を優位に運んでいた。 奥原はもういなかった。

高度なフットボールを志し、実行しているのが見て取れた。が、反面、浮き彫りになるのはむしろ能力面のアナだ。 いかんせんCBの頼りなさとCFの迫力不足は明らかで、佐川東京が普通にやれば負ける相手ではない、というのが正直な感想だった。

そして、天皇杯予選の緒戦となったこの日。果たして、エリースは最強のチームとなって堂々と立ちはだかっていた。 それまで、ある程度の苦戦は覚悟しつつも、この「おひつじ座」の名前を冠する真紅のユニホームの軍団に、何度も恐怖を味わされることになるとは思ってもみなかった。

東京は、これまでの涼しさが一転、帳尻を合わせるかのような猛暑に襲われていた。 真昼の11時半。この日の夢の島でのピッチ上の体感気温は40度近くにもなろうかという状態。芝の状況はかなり向上している。 佐川東京はアウェイ扱い。スタンドの入りはよし。

エリースは中盤ダブルボランチの基本的には4-2-2-2。CFの山口に対してポスト奥原の岡本は動き回りチャンスをうかがう。

序盤は暑さもあって、流石に相手の様子を見ようかという展開。エリースは、ボールを奪うと高めに張る両サイドハーフと3〜4人でシンプルにパスをつなぎ 佐川東京の3バックの裏めがけてアーリークロス、また遠目からキワドイシュートを狙う。これに対して佐川東京は前半、右ワイドの井上が下がって変則4バックという感じでこれに対していた。 井上はこの猛暑にもかかわらず、精力的に上下動を繰り返し、敵左サイドの抑えと、攻めては鋭いアーリークロスを供給、ミドルを狙うなど攻撃の起点となった。

それに対して、中央で待ち構える竹谷にとっては、あまり良い日ではなかった。ポストプレイ、オフザボール、フィニッシュ、いろいろな部分で積極性が見られなかった。 マサオは何度か裏を取りフィニッシュまで持ち込んだものの、相手DFの好守に阻まれモノに出来ない。 そう、エリースのCBは良かったのである。特に5番は読みが良く、奪ったあとも自らドリブルで持ち込んで攻撃の起点になるなど、素晴らしかった。話が違うよ。

エリースのダブルボランチはCBの前にベタ付き、というほどではなかったがバイタルエリアを抑え、守備に専念していた。セカンドボールに対して 佐川東京に比べて出足が良く、身体を投げだしてボールを奪いに来ていたので、ボールポゼッションでは上回るものの、しばしばこれからというところでボールを奪われ速攻につなげられた。 前半、攻撃のカタチを作れていたのはエリースであった。

後半、時間が経つにつれて、酷暑に炙られた両チーム選手の動きが鈍りだす。エリースの中盤の粘り強い守備の前に、判断のまずさ、パスミスが顔を出し始める。 試合の趨勢はエリースに傾きだしていた。流れをモノにしたいエリースはジョーカー馬目雄介を投入。佐川東京のスーパーウルトラサブ馬目茂樹の実弟でもあるこの選手は 左サイドで持ち前のテクニックを発揮。やはり早いタイミングで鋭いクロスを供給し、佐川東京をピンチに陥れる。 なんとしても90分でケリをつけなければならない佐川東京は右サイド井上に替えて田島を投入。この交代が試合をさらに揺り動かした。

右サイドからの攻撃を狙っての田島の投入も、マッチアップした馬目雄介のトリッキーな動きの前に守備に忙殺され、翻弄された。 守備一辺倒になると流石にキツく、加藤との連携ミスから信じられないピンチを招くなどした。 が、タテへのスピードが持ち味の小幡と運動量も豊富でスペースを作るのが上手い馬目(兄)の投入(後半30分頃)により、全体のリズムも良くなり、田島の働きどころも出来た。 30分過ぎ。右サイドを駆け抜けた田島が、最終ラインの裏とGKの間に低く鋭いクロスを入れる。そこにドンピシャのタイミングで飛び込んできたのは小幡だった。 今日一番のチャンス。決まった。終わりだ。誰もがそう思った。が、シュートは枠を捉えなかった。

まさか、これが入らないとは。チャンスあればピンチあり。エリースがカウンターを仕掛ける。がらんとした中央のスペースから侵入する山口に後ろ斜め右から必死に身体を寄せ、 止めにかかるのは伊藤琢矢だったろうか?交錯プレーにホイッスルがなる。えっ?レフェリーはペナルティアークを指差す。すわPKか?万事休すか? 唐突なワンプレーで棺桶に片足を突っ込んでしまった。終わった。今年の冬もきっとサムいな。あーあ。クソ暑いのに冬の心配をする一瞬。…いや。レフェリーは手を上げていた。間接FKだ。 助かった。いや、まだわからない…。

見れば、ゴールの中に青い壁が出来ていた。佐川東京のフィールドプレイヤーは「全員」ゴールの中に入って、壁を築いていた。青い壁の中に黄色い加藤がいて待ち構える。 フットボールではよくある事とはいえ、異様な光景だ。

往々にしてPA内からの間接フリーキックは入らないものである。大丈夫だ。そう思っても怖いものは怖い…。岡本がモーションに入る。わー。やめろー。外せー。 蹴ったー。外したー。ざまーみろー。(c)トニー・クロスビー

よし。天はまだ味方している。今年の冬はアツいぞ。ピンチのあとにチャンスあり。流れを引き戻し攻めかかる佐川東京。が、時間はもう無い。ロスタイム。 田島からのクロスが、誰かの頭を経由したか、それともクリアが甘かったか、ファーサイドへ流れていったところを滑り込み、押し込んだのはマサオだった。これが決勝点となった。 この日、マサオはいくつかのチャンスをモノにできていなかった。が、最後の最後でモノにした。これが点取り屋だ。ベタだが、文字通り「残りの1分で仕事すればいい。」を体現した。 いいぞ、マサオ。それでこそエースだ。

負けるかと思った。ハッキリ言ってブサイクな試合だった。泥臭い勝ち方だった。だが、これはリーグ戦ではない。負けたら、死だ。 どんなカタチでも勝つことそのものに意味があるのが、トーナメントだ。逆に言えば勝って駒を進めることにしか意味は無い。「負けても内容が良かった」とか、ネムい事は言いたくない。

それにしてもエリースは強かった。次の相手は国士舘大学おそらくはAチームが出てくるだろう。流石「東京代表」は苦しい道のりだ。 だが、泥臭くても泥の中から勝ちを拾う尊さを知ったチームは強い。佐川東京は勝つだろう。勝たなければならない。(K)




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