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JFL 第4節 17/04/2003 13:00 K.O. 群馬FCホリコシ 0-2 佐川急便東京SC 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 晴 JFL一年目の群馬が、先輩を立ててわざわざ近くまで来てくれたか?中立地アウェイ熊谷市での試合は、先週に続きからっとした晴天の中行われた。風はそこそこ。 来る国体の為に建設されたというスタジアムは、公園内に隣接する同じく国体用のラグビー場、ドーム式の体育館とともに真新しく、立派な佇まいであった。 スタジアムに向かって歩いていくと、何人かの男性と女性が険しい表情で、こちらをじっと見つめて立っていた。年齢は総じて上。運営の人、という感じではない。群馬の熱狂的なサポーターという感じでもない。 だいたい、フットボール観戦をしに来た、という雰囲気ですらない。何だろう?普段そうなのだが、僕は、よくあるレプリカシャツ等を着たりとか「それ」と判る格好をして会場に赴いているわけではない。 従って、ホームサポーターの憎悪の対象?になるいわれもない。なのに、険しい顔でジッと見られている。…僕はまだ何もしてましぇん。(苦笑) まあ、触らぬ神になんとやら、でその場は通り過ぎてチケットを購入。件の男女の立っているところに戻る形で入場口に向かう。そのとき、彼らが何やら人名の書き連ねられているリストを後ろ手に持っているのが目に入った。 去年の富山、長居(語尾下げ)に続き立派すぎる屋根付きメインスタンドに入ると、大体、事情が飲み込めた。群馬FCのサポーターと思しき集団は純度ほぼ100%まじりっけなしの堀越学園生徒のみなさんとのことだった。 門の外の人たちは出欠を取っていたらしい。なるほど。険しい表情で見ていたのは、僕を遠めに見て生徒か何かだと思ったのだろう。まあ、そういうこともある(笑)。 さて、試合は、好勝負となった。群馬はかねてからの前評判通り、4−4−2→攻撃時はサイドが上がって3−4−3といった具合の綺麗な3ラインのシステマティックな中盤を形成。序盤はボールポゼッションで優位に立たれる。 これに対する佐川東京は慌てず騒がず、先週の鳥取と同じチームとは思えない程の安定し、落ち着いたDFラインを中心にきっちり対処。立ち上がり、FW森に裏に走りこまれそうになるシーンがあったが、問題なし。 佐川東京は、ホリコシのタテに浅く横に間隔が広いDFラインに対して、奪ったボールを素早く、シンプルに前線に送った。竹谷と三本菅がドッグファイトで火花を散らす。競り勝てなかったとしても、そのこぼれに小幡や山根が裏を狙うという構図で、 様子を見る展開から徐々にリズムをつかみ始める。それにつけても、ホリコシの組織的な中盤たるやどうだろう。これほどのコンパクトかつ、完成された中盤はJFLでも随一ではないか?Hondaとはちょっと違う。吉成を擁した攻撃的だった頃の大塚、良い時の栃木、本気モードの国士舘…。 3部相当といえど侮るなかれ、良く動き、構成された中盤を持つチームはちゃんと存在するが、それらを凌駕するものがあった。ただ、その中盤に比して、前線にボールが渡り、PA付近まで来ると、そこから先のパターンは少なく手詰まり感があった。Jリーグでの経験という意味「だけ」では、佐川東京以上のタレントを揃えるホリコシのこと。 ここから先は個人の力でこれまではなんとかなっていたのだ、ということに気がついた。ならば、話は早い。この戦い方で良い。佐川東京のスピーディーかつ粘り強い守備に対して、苦し紛れのミドル、単発のロングクロスでお茶を濁すホリコシ。もしかすると、逆に言えば、もっと手数をかけずシンプルに前線にボールを送ることをホリコシが考えていたら、強力な前線のこと、試合の展開は違うものになっていたかもしれない。 中盤でのせめぎあいは、時間が経つにつれて、イーブンになってきた。両チームとも非常にコンパクトに保たれた中盤同士が相手のボールに対して、コースを限定し→挟み込み→ボールを奪うという連動した動きを丹念に繰り返した。決定機こそ少なく、派手さにはかけるものの、実に高度な引き締まったゲームだ。 うんうん、と心の中で感心する僕をよそに、ホリコシのサポーター…、じゃないや学生さんたちは、どんどんどん…と、のべつまくなし太鼓やメガホンを叩いて気のないコールを繰り返すだけではあったが。まあ、これも単位のためだ。ただ、もし僕が生徒だったら休みを潰してまで来ていたかどうかはわからない。どうでもいいが(苦笑)。 ホリコシCKからのピンチがいくつか。前線は森、奈良、小松原の3人が常時攻めるが、流動的な感じ。奈良は大体トップ下のスペースで自由にやっていたようだが、キープ力はなかなかのもので最も手を焼いた選手ではあった。去年、佐川東京の練習に参加していた小松原は今シーズンゴールを多く決めていたものの、意地にかけて立ちはだかった佐川東京DF陣の前に沈黙した。いや、ひとつ、前半、PA手前中央でパスを受けて反転シュート、というシーンがあったが、 これは枠には行かなかったものの、このボールを受けてからシュートにいたるまでの一連の動きは、身体の使い方、瞬間的なスピード、シュートの力強さ、と、どれをとっても流石の風格を漂わせており、敵方の佐川東京のファンをして嘆息せしめた。 ホリコシに負けじと高い位置からのチェイシングと裏を狙う動きを繰り返す佐川東京。その甲斐あってか、ホリコシのソリッドな4ラインDFにもミスという名のほころびが少しづつ見え始める。よし、いいぞ。と思っていた28分。左サイドをオーバーラップしていた冨山が、相手ボールとなった後も前線に残り続け、執拗にチェイシングをつづけるとホリコシDFが面倒とばかりに前線にポーンと蹴りこむ。そこには誰もいない。厳密に言えば雑なプレイである。ホリコシDFに一瞬生まれた心の隙間を感じ取ったか? 鈴木俊はお返しをするように素早くワンタッチでフィードを返す。適当に放り込まれたボールと対照的な、そのフィードの弾道の鋭さと、そこに向かっていた竹谷や河合の動きが目に入ったか、応対した三本菅はこれをミスキック!河合が拾うとシュートコースを狙って中央に切り込もうという姿勢を見せる。すっかり慌てた三本菅は、たまらず河合を引き倒した。PA手前、左45度付近。絶好の位置でのFKを獲得。ボールの前には山根、熊谷、河合。こういった場合のFKは決まる。唐突に訪れたピンチの前にホリコシGK道本は壁の位置を指示するのはいいが、肝心の自分が「河合の左足」を 念頭に置けなかったのかもしれない。結局逆をついて、ニアに蹴りこまれたボールは微妙にアウトにかけられた弾道でゴールへ決まり先制!ホリコシは、まんまと罠にはまった。 0-1リードで迎えた後半。当然、立ち上がりからホリコシが、反撃を狙って押し込んで来るものと思っていた。だが、のっけから「完全に」試合を支配してみせたのは佐川東京だった。右サイドを駆け上がりクロスorドリブル突破からのシュートを狙う井上公。熊谷も攻撃参加し足技を披露、ホリコシDFを翻弄する。小松原に負けじと竹谷も懐の深さを見せPA内でキープ&シュート!…もキーパー正面。惜しい。完全なるハーフコートの展開になった。これはうれしい驚きだ。 この流れを絶対にモノにせんとばかりに、優勢の佐川東京ベンチが先手を打つ。53min小幡out榎本in。左右両足が利く、元学芸大の10番は、右足でのやわらかいクロス、左足での絞り込んでのシュート、と変幻自在の動きでホリコシDFを手玉に取り流れを確固たるものにする。65min竹谷outマサオin。マサオも浅いDFラインの裏を狙って良く動く。 失点さえないものの、瀕死の状態に陥りつつあったホリコシも動く。69minDFを一枚削って、切り札ダニーロを投入。インテルのFWマルティンスをほうふつとさせるダニーロは、早速縦横無尽に動き回り、ホリコシとのプレス合戦にやや疲れを見せ始めた佐川東京の中盤と、DFラインを切り裂きにかかる。その爆発的なタテへの速さは完全にスピード違反だ。そして、(ホリコシの)右45度のエリアでついにダニーロが佐川東京の守備網を突破し、独走!佐野と一対一に…。この試合最大の絶体絶命のピンチ。しかし、右足で放たれたシュートは佐野がビッグセーブ!…助かった。いくらダニーロとは言え、佐野はかつてウェズレイを止めきった男。あいにく役者が上ということだ。と強がったものの、マルティンスいやダニーロのせいで試合の趨勢が再び混沌としてきたのは事実だ。 試合の終止符を打ったのは、水際ながらもホリコシの攻勢を防ぎきった佐川東京だった。78分、この試合、攻守に精力的な上下動を繰り返した井上公が、榎本からのパスを受け、絶妙なアーリークロスをファーサイドのスペースへ蹴りこむ。前がかりになっていたホリコシのDFラインは佐川東京の左サイドに大きなスペースを空けていた。そこに向かってフリーで走りこんできたのは、19番、河合だった。良く覚えてはいないが、多分この瞬間、僕は、プレミアシップやリーガエスパニョーラのゴール裏によくいる気の早いファンのように、ガッツポーズを作る準備をしていた。河合が左足ダイレクトで、ドン!Yeeeeeeessssssssssss!!!!!!!!!…0-2。 思えば、河合といえば、かつて天敵ジヤトコの一員として、佐川東京戦ではほぼ毎回ゴールを決め、立ちはだかり続けた男だ。かくいう僕も彼にやられるたびに悔し涙に枕をぬらし(?)、「河合」の名前はたとえ他人でも、もう二度と聞きたくない…。などと思っていたら、佐川東京の一員となり、この日は、試合を決める活躍をした。不思議なものである。これもフットボール。正直、これまで河合に何度もやられながらも、「こんな選手がいたら…」と思ったものである。ようこそ、河合崇泰!あなたのような選手を、待っていました。 さて、試合は0-2。危ないシーンはあったものの、佐川東京の完全勝利といっていい内容であった。振り返って、ホリコシの完成された組織的フットボールはオランダ的ではあるが、どうも、理論が先行し、縛られ、自由度のない窮屈な戦いぶりに及んでしまったようだ。オランダはオランダでもアゴなしファン・ハールのバルサといったところか。それに対する佐川東京は、ホリコシにはない、個のアイディアや、柔軟かつ巧みな試合運びで完全に上回り、その結果として完勝となったといえよう。選手個々を見比べれば、実績ではホリコシの方が若干上かもしれない。Jでの経験のある選手も多い。なるほど、スピードやフィジカルではホリコシに軍配が上がるかもしれない。しかし、この試合を見る限り、足元の技術、判断、アイディア、といった部分では佐川東京が勝っていると感じた。 対照的な2チームが自分たちのフットボールをぶつけ合った結果、こうなった。そういった意味では、わかりやすく派手な試合ではなかったが、90分を通して流れのある、高度で、渋く面白い試合であった。こういった試合があるから、JFL、いや、佐川東京は面白い。次も勝つぞ。(K) |