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JFL 第10節 22/05/2004 13:00 K.O. 佐川急便東京SC 2-2 愛媛FC くもり/小雨 「フットボール」には、日本で認知されている他のメジャーな球技にはほとんどない、 「引き分け」の概念をいかに解釈するか?というテーマが存在する。 この日佐川東京は、ホーム西が丘で愛媛を迎え撃ち、前半は1-2と大いに苦戦するも、 後半は盛り返し、小幡の巧妙な抜け出しからのPK奪取で同点。 終盤に至っては完全に袋叩きの様相で、あと何分かあれば確実に逆転できる…。という状況 のままタイムアップを迎えた。そのため、ファンにも選手にも「惜しかった」という印象が残った。 僕自身も、「惜しかった」と言って帰途に着いたクチなのだが、これは果たしてこの試合における佐川東京に対してとるべき正しいリアクションだったろうか? こういうことをWebで書くのは、極めて「後だしジャンケン」的で、潔くないだが、それを承知で敢えて言えば、この「引き分け」は結果として絶対に納得してはいけない「引き分け」だった。 イーブンな立ち上がりから、やや水を含みながらも状態の良い(どうやら前日にこの試合のために整備が入ったようである。感謝します。) 芝の上をボールが良く走ることを感じ取ったか、愛媛が前線でショートパスを連ねはじめると愛媛ペースの序盤の流れになる。 前節大阪戦では、何処に出しても恥ずかしくない完璧な出来を見せたはずの佐川東京DF陣は、愛媛の攻撃時の出足の鋭さの前に、バタつきを見せた。バックスタンドで観戦されていた方の視点よると、愛媛は中盤より前の選手一人一人に愚直ながらもキッチリと役割分担が出来ており、ディシプリンに忠実に基づいた上での「出足の良さ」であったと言う。なるほど、例えば、ボールを奪ったその瞬間に前線に張るターゲットの川井のやや後ろから友近がダイヤゴナル・ランでDFラインを切り裂くと、その動きに引っ張られたDFラインの逆サイドには若い赤井が走りこみ、ボールを呼び込む。統一された愛媛アタッカー陣を締めるのは一枚ボランチの金子であった。彼が献身的にスペースをケアし、素早く、前線の動きで出来上がったスペースにパスを出した。 愛媛の中盤は、この金子がキモであった。太ってはいるが(笑)、そのプレイは良質だった。逆に言うと後半、佐川東京が完全に主導権を握ったのは消耗もあり、愛媛この位置が機能しなくなった点が大きい。 対する佐川東京のダブルボランチは、この金子に上手くプレッシャーをかけて愛媛の中盤のリズムを断ち切るべきだったが、愛媛の早さに対して、どうしても鈍い。ボランチの位置で動きが停滞し、序盤にバタついた最終ラインも押し上げは出来ず、受身に回った。サイドの位置も、また然りである。それでも、先制したのは池田、嘉悦の動きでチャンスを作っていた佐川東京だった。CKから伊藤の打点高っ!のへッダー炸裂。しかし、皮肉な事にこの後、伊藤のキックミスを拾われ、右サイドの赤井に角度の無いところから佐野のワキを抜かれるシュートを決められあっさり同点になった。失点につながったという事でこのミスは致命的だったが、ある意味不運とも言える。しかし、もっと問題だったのは次の失点だった。またしてもCKからである。この時、愛媛の長身DF加藤が上がってきたが、全くフリーなのがゴール裏からは丸見えだった。これに気付いた数名のウルトラが「2番フリー!」と叫んだものだが、その必死の声は届かなかった。 今年、佐川東京は全失点中、実に約半分ちかくをCKで失っている。これは多すぎやしないだろうか?大体がわかりやすく相手のでかいCBが上がってきてもフリーにする、というパターンに思える。なぜ、フリーにするのか?もう、勘弁してください。 さて、後半、小幡、新加入の尾上の積極的な動きもあり、逆転ショータイムか、と思いきや1点どまりであった。長居での例に限らず、佐川東京は10分もあれば2点を取る力を持ったチームである。しかし、愛媛も馬鹿ではない。綱渡りながらもなんとか守りきった。この試合。フルスロットルとも思える愛媛の序盤からの動きを見て、ゴール裏の連中は、「ぜってぇ、もたねえよ。」などと言っていた。彼らだけではなかったろうが、果たしてその通りに、愛媛は55分あたりから、全く足を止めてしまっていたのだ。 さて、この試合における愛媛の置かれた状況に目を向けてみたい。愛媛は、この試合まで順位では4位に甘んじていた。あくまでも「原則」ではあるが(?)J2への参入基準が「2位以内」とされている以上、リーグが3分の1を経過した今、2位ザスパとの勝ち点差7でのこの位置は、やや、首の辺りが薄ら寒くなってくるシチュエーションといっても否定は出来ないだろう。(現に愛媛のファンサイトをはじめそういった言論が目立っていた)なおかつ、前節ホームでは、たったシュート4本しか放つ事が出来ず、YKKに完封負けを喫していた。 たとえアウェイとは言え、このシチュエーションを考慮すれば、90分を考えていないんじゃないか?とすら取れる「明日なき戦い」を挑んできたのも合点がいく。そう考えると、やはり、前半の失点はせめてどちらかだけでも防ぎたかった。 結果論ばかりであるが、この試合のキモは前半、受身に回った時のボランチと最終ラインでの守備であった。愛媛のような相手の攻撃を受ける、のはかまわない。意図的にゆとりをもって受身に回るのは、その後の勝利へのショータイムへの前フリと考えれば、正しい方法論だ。だが、この試合はそうではなかった。90分を見通していれば、前半は「失点しない」という意識のもと、もう少しゆとりを持った戦いぶりができたはずである。佐川東京はそれができるチームだ。 試合後、挨拶に訪れた愛媛イレブンに対して、遠く愛媛から来たウルトラ連中と関東近県のファンを集めたバックスタンドの愛媛サポーターはなんとも拍手を送るとも罵声を浴びせるともリアクションを取る事ができていなかったようである。基本的には他人のことは良くわからんし、興味も無いが、彼らもまたこの「引き分け」を消化し切れなかったのであろう。しかし、卑下する意味でもなんでもなく、アウェイである事、彼我の戦力を考えれば、フットボール的には愛媛のドローはよし、とされるべき類のものである。佐川東京のゴール裏の衆は後半の攻勢もあり、選手達を拍手で迎えたが、このような「明日無き戦い」をせざるを得なかった格下の愛媛相手にホームでとんとんの試合をして、ドロー、ではまずい。まずいドローである。が、前半チャンスをつかみかけた嘉悦の動き、登録して突如デビューを果たした尾上の積極的なゴールを狙う動きなど、光明もあることはあった。(K) |