
|
JFL 第15節 27/06/2004 13:00 K.O. アローズ北陸 1-2 佐川急便東京SC 富山県岩瀬スポーツ公園サッカーラグビー場 くもり あいかわらずジメジメした天候ながら、ここ何試合かに比べれば暑さはかなり和らいでいた。 今にも雨が降り出しそうな空の下、いかにも地方の駅、といった風情の東富山駅から徒歩10分足らず、遠くの方から間延びした感じで 女性のアナウンスが聞こえてきた。さらに歩を進めると、公園の中にこじんまりした専用スタジアムが現れた。 入場口の近辺には、続々と地元のファンが集まってきて、なかなかの活況を呈していた。聞けば、「無料キャンペーン」中との事で、 当日無料入場に加えて、さらに無料チケット一枚をもれなく進呈という事であった。敵方の僕にまでこのもてなし、ありがたい限りだ。(笑) メインスタンドの上段に腰を下ろす。規模は小さいながらも、ピッチとの距離が大変近く角度もついており良い塩梅だ。客の入りは7〜8割といったところか? 対岸のバックは芝生席で、これまた小規模ながらアローズ北陸のサポーターがいて青いメガホンを叩き声援を送っていた。ピッチはややサイズが小さく、芝はまずまずか? 佐川東京は、劇的な勝利を上げた草津戦とほぼ同メンバー。中盤の攻撃的な位置には山本正男が入った。アローズは登録上4−5−1ながら、実質中盤ダイヤモンド4−4−2に近いといったところだろうか。 前線には今年加入した北川、石橋。中盤の司令塔として川崎がその後ろに控える。深く位置する4ラインディフェンスがしっかり守って、このJリーグを経験した前線の3人がカウンターを仕掛けるというのが 基本的な狙いであった。要は、いつもと同じ。だが、それに毎度苦戦し続けていた佐川東京、というのもまた事実であった。 立ち上がり、佐川東京に対して、ひとあたり当たっておこうということか?左サイドからパスをつなぎ、いきなりPA内に侵入してくるアローズ北陸の攻撃陣。しかし、事なきを得る。これが、目覚ましになったか? 佐川東京は最初のターンにパスをワンタッチで小気味よくつないでいく。テンポの良いビルドアップにパッと選手が散らばっていく。アローズの中盤はこれに対する事ができない。おっ!と思っていると、熊谷がロングクロスを放つ。尾上が、PA手前中央やや左よりで相手DFを背にしながらこれをトラップ。 そして左に半回転しながら左足でシュート!ファーストシュートの放物線は見事にゴールに突き刺さり、秒殺完成。お見事、としか言いようがない。あまりの鮮やかさに僕は思わず笑ってしまった。お通夜のようなスタンドの中で笑っているのは、僕だけだった。 尾上のJFL初得点にふさわしいゴラッソを口火に、ポゼッションで押し捲り優位に試合を運ぶ佐川東京。序盤、何度かアローズのカウンターに晒され、裏にスルーパスを通されるシーンがあったが、DFラインは試合を通じて安定。いくつかオフサイドの網に掛けるなど磐石。後ろがしっかりしていると、 中盤もリスクを恐れず、試合を組み立てていく。最終ラインからの攻撃参加もあり、イケイケの雰囲気。36分には、池田を追い越して左サイドに進出した川村が相手DFを切り返し一発で抜き去り、佐川東京ベンチも沸き立つ、川村が放ったファーへの鋭いクロスに尾上が飛び込むが惜しくも得点ならずというシーンも有った。 中盤のバランサーに入った山根が良く効いている。出足の良いカット、スペースのケアと読みで貢献。攻撃の第一歩としても、広い視野と素早い判断からワイドな散らしで魅せる。機を見ての突破も良し。山根が中盤を締めると、熊谷は攻撃参加に存在感を発揮。2点目はそうした流れから生まれた。 そろそろ追加点が欲しい39分。左から持ち込む池田を追い越し、絶妙なタイミングで相手DFラインの裏、PA内に飛び出していく熊谷の足元に池田からパスが通る、完全に裏を取られた相手DFに熊谷が倒されてPKをゲット。これを池田が落ち着いて流し込み2点目。池田はこれが初ゴールとなった。初と言えば、前半で2点をリードする展開も其田監督就任以来初めて。おめでとうございます(笑)。
後半も、流れは変わらない。2トップの後ろで自由にプレイするマサオが前線でタメ、シュートを見せる。竹谷もポストプレイで存在感を発揮。裏を狙ったり、ロングでターゲットを狙ったり、つなぎからの展開、サイドからの崩し、と多彩な攻撃と2点のリードを元にゆとりをもって試合を進める。あぶなげない、が、点が入らない。 そうすると流石にアローズも反撃の姿勢を見せ、終盤は押し込まれる。2点リードという事からこれはある程度折込み通りだったかもしれない。が、78分にセットプレイから畑に押し込まれ、失点。またか。その後、途中出場の小林に裏に走りこまれる場面があったが、加藤が一対一を落ち着いて制した。後半、佐川東京は戸田、榎本、田中とカードを切ったが、中でも久々に前線に入った戸田の溌剌としたプレイぶりは印象的だった。 1-2。終わってみれば、点差は競っていたが決定機の数を含め、内容的に大きな格差を見せての勝利であった。久々となる流れからの相手の出鼻を挫く先制、さらには二点差をつけての試合展開ということで、守備を基調としたカウンター狙いの相手という事を考えるとこの上ない試合運びであった。アローズの何人かの選手は、途中で試合を投げたかのようなプレイぶりであった。 後半に押し込みながらも点が入らなかった点や、もう見飽きたセットプレイからの失点といったところを考えると完璧とは言いがたいが前節に続いてまずまずであろう。其田監督が元気に指示を出しまくる姿に何だかこっちまで嬉しくなってしまった(笑)。こういう試合運びを見ると、守備の安定ということもあったが、押し込まれても不思議と失点する気がしなかった。そういうものかもしれない。 試合が終わると、地元のファンと思しき人が声を掛けてきた。僕が佐川東京のファンと知ると馬目や小幡といった名前が見えなかったことを聞いてきた。「ケガですか?」ケガというのももちろん有るが、佐川東京は一番状態の良い布陣で戦っている。誰が出ても仕事が出来る、それが強みである。…と、いうようなことをやんわりと答えた。別のファンの方がゴール裏に掲げていた横断幕を外すためにフィールドに入らせてもらった。 芝の香りと足に伝わる感触が心地よい。尾上がクールダウンをしていたので、「おめでとう」と声を掛けると、満面の笑みを見せてくれた。 6勝、3分、6敗。8位。開幕時のさまざまなエクスキューズを含めて、佐川東京を知る人はこの成績にさまざまな印象を抱いているだろう。中には不満とする人もいるかもしれない。振り返ってみれば、正直、いただけない試合もあった。が、「今」を切り取ってみれば、これからに充分期待ができる。そんなここ数試合の戦いぶりである。楽しみだ。そんなことを考えつつ、脂の良く乗った鱒寿司でビールをやっつけながら帰途に着いた。 佐川東京はリーグ戦の折り返し地点に立った。(K) |